ざっくりいうと…教科書のようなテキスト
FP3級のテキストの中で一番薄い。
その代わりに図が全然なくて、一番分かりにくいテキストでもあります。
その点が大丈夫なら、この薄さで高い網羅性があるすごいテキストです。
見た目
割とシンプルな感じです。
カバーの下はモノクロにしたような感じ。
分かりやすさ:×
図が全然ないから分かりにくい
正直このテキストは、FP3級のテキスト12冊の中で一番分かりにくいです。
表もたくさんあるし、書いてあることが分かりにくいわけではないです。
問題は、図が全くないことです。
イメージが重要な不動産や相続でも、全然図がありません。
これは最初に理解する段階では、かなり不便です。
以下に例を挙げます。
「・建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接してなければならない。接道義務を満たしていない場合、原則、その敷地に建築物を建築できない。
・道路の幅員が4m未満の場合、原則、道路中心線から2mの位置まで道路境界線を後退させる。後退(セットバック)部分は、建築面積や延べ面積の計算上、敷地面積には算入できない。」(161p)
理解してしまえば何も難しいことじゃないんですが、これを最初に読んでも、簡単に頭に入ってこないんじゃないかと思います。
この部分は他のどのテキストでも図がついていて、それを見ながら読めば簡単に理解できます。
本書にはそういう図が他にも全然ないので、かなりイメージを描きにくいです。
このテキストを使うなら、分かりにくい部分は自分で図を書いて理解しやすいようにカバーする必要があります。
それと、本書は12冊のテキストの中で一番薄いので、分かりにくい部分は飛ばしながらサッと読んで何周もするという勉強法ができます。
そうやっているうちに最初分かりにくかった部分も分かってくるようになるので、このやり方もアリだと思います。
網羅性:○
薄いのに高いカバー率
2019年9月の学科試験60問のうち、応用問題を15問抽出して、FP3級のテキスト12冊でカバー率を検証しました。
※残り45問は基礎だったり超重要な部分なので12冊のどのテキストにも大体載っています。
その結果、15問中10問正解でした。
このカバー率は12冊中4位です。
15問を除いた残り45問はすべて載っているとしたら、55/60問(約91.7%)カバーしていることになります。
この薄さでこのカバー率はかなりすごいと思います。
倍以上の厚さがある、「みんなが欲しかった!FPの教科書3級」と同じカバー率です。
その分、分かりやすさが犠牲になっていますが…とにかく薄くて網羅性が高いのが良い人にはこのテキストは選択肢になると思います。
見返しやすさ:○
薄いから探しやすい、索引も◎
テキストの中で一番薄いので、ぺらぺらめくって探しやすいです。
また、本書の索引は探しやすいです。
索引の見出しには、「あかさたな」形式と、「あいうえお」形式の2種類がありますが、本書は探しやすい、「あいうえお」形式の索引です。
この2つには、以下の画像のような違いがあります。
ほとんどボケていて分かりにくいかもしれませんが、見出しに着目してほしいです。
2番目が本書の索引です。
1番目は見出しが「さ行」しかありませんが、
2番目の本書は「さ」「し」「す」…とあります。
例えば、「準確定申告」という言葉を、それぞれの索引で探すとします。
「さ行」は単語が多くて、特に「し」はたくさんの重要語句があります。
「あかさたな形式」の索引だと、「さ行」の場所はすぐわかるけど、
「し」がどこからどこなのかすぐには分かりません。
「あいうえお形式」の索引なら、「し」が直接見出しにあるので、
どこからどこまでが「し」なのか一目で分かります。
1つ言葉を探す程度なら大した違いじゃないと思うかもしれませんが、これが何十回と調べていくと、快適さに大きな違いを感じます。
付属問題について
問題数
各節末に3~11問。
さらに章末に実技問題が1~2問。
出題形式
〇×問題のみ。過去問ではないです。
実技問題は過去問です。
解答
問題のすぐ右にあります。
赤シートで隠せます。
解説
一切なし。
薄さのためには仕方なかったのかもしれません。
レベル
300問ないので、これだけで合格レベルは難しいかもしれません。
別売問題集の評価:△
FP協会の実技に非対応
FP協会の実技試験、「資産設計」を受ける場合は注意が必要です。
本書の別売問題集は、学科と実技で分けて販売されています。
さらに実技試験はきんざいの「個人資産」と「保険顧客」で分けて販売されています。
きんざいが編著してきんざいが出版しているだけあって、FP協会の実技試験問題集は販売していないです。
きんざいの実技を受けるとしても、問題集を分けているため、①テキスト、②学科問題集、③実技問題集と3冊買う必要があります。
合計すると約5,500円…
他のテキストなら3,000円で揃えられるのに、これは痛いです。
そもそもこのテキストが、税込2,200円と一番高いテキストですからね。
ただ、分けてある分、実技試験の問題集は一番充実しています。
問題集自体は薄いですが、学科と実技1冊を合わせると2番目に厚い問題集になります。
強み・オススメできるひと
一番薄いし、網羅性も高い
本書は同じくきんざいが出版している、「これであなたも一発合格!」と並んで1番の薄さです。
あっちは問題を一切掲載しない方法で薄くしています。
本書は各節末に問題があって、40節あるのでそれで40p、実技試験で20pくらい使っています。
ということは問題だけで60p使っているので、本文は155pだけということになります。
ありえないほど薄いのに、網羅性はかなり高いです。
赤字暗記したいなら一番オススメ
テキストを赤シートで隠して、赤字部分を暗記する勉強法がありますが、FP3級ではあまりオススメできません。
問題集のほうが効率的です。
それでも赤字暗記で勉強したい場合、このテキストが一番おすすめです。
赤字暗記をしたい場合は以下の勉強法の記事を参考にしてください。
本書を使う前提で書いています。
教科書的な堅いテキストが好きなら最適
他のテキストは分かりやすくするために図をたくさん使っていますが、本書だけは全然使われていません。
そのため文章が中心で、2色刷りなこともあってか、最も堅いテキストになっています。
薄いのにすごい重要なことが詰まっているのも、学校の教科書みたいです。
そういうテキストを好む人は少ないと思うので基本的にはオススメできませんが、逆に好む人にとっては最高のテキストだと思います。
弱み・オススメできない人
分かりにくい、ちょっと高い
図が全然ない分かりにくさは、大きな欠点です。
いくら薄くても、これが致命的で、あまりオススメできるテキストではありません。
それと、地味にお金がかかります。
他のテキストなら3,000円で揃えられるのに、このテキストだけ揃えたら約5,500円します。
テキストだけでも、他は1,500円くらいなのにこれだけは2,000円します。強気です。
薄いのがいいなら「これであなたも一発合格!」がオススメ
本書は図をなくして、分かりやすさを犠牲にして薄くしています。
一方、「これであなたも」は、問題を一切掲載しないことで薄くしています。
代わりに、図がたくさん使われていたり、このテキストにはない分かりやすさがあります。
私は基本的には、節末問題をやらずに別売問題集を集中的に取り組んだほうが、合格の確実性があって効率的に勉強できると考えているので、そういう勉強をするなら節末問題は必要ありません。
大抵の人にとっては節末問題よりも分かりやすさが重要だと思うので、薄くて勉強しやすいテキストを探しているとしたら、本書より「これであなたも」のほうがオススメです。
FP協会の実技を受けるならオススメできない
問題集がFP協会の資産設計に対応していないので、FP協会の実技試験を受けるのであればオススメできません。
テキストでも実技対策は書いてありますが、個人資産と保険顧客の視点で書かれています。
このテキストで資産設計も合格できないわけではないですが、他に良い選択肢があるのに、わざわざこのテキストを使う理由もないと思います。
勉強法
このテキストを使った詳しい勉強法は以下の記事を参考にしてください。
テキストの赤字部分を暗記する勉強法について、本書を使う前提で書いています。