ざっくりいうと…×入門書 うまく扱えば使えるテキスト
入門書として軽く読んでイメージを掴んで、他のテキストに移行する、みたいな使い方には向いていません。
軽い雰囲気ですが、結構ちゃんとした内容になっています。
さらっと読めるものじゃないです。
でも応用的な内容は大幅に省いているので、勉強しやすいですが、このテキストだけじゃ不安な情報量です。
扱い方次第では、効率的に勉強ができるテキストだと思います。
※具体的な使い方は下のほうの勉強法を参考にしてください。
見た目
ごちゃごちゃしてます。
でもカバーを外したらシンプルになるのでいいと思います。
分かりやすさ:◎
マンガはもちろんイラストが多用されていて読みやすい
この本をアマゾンで購入した時、この本の大部分はマンガで、節の最後に1ページくらい真面目なまとめがあるんだろうと私は思い込んでいました。
実際読んでみると結構ちゃんとした内容の本で、むしろ全体の2割強しかマンガじゃないです。
全体は351ページでそのうちマンガだけなのは76ページくらいでした。
マンガ以外のページでもイラストが多用されていて、イメージがつかみやすいと思います。
このテキストだけB5サイズ、つまりよくあるマンガ本の大きさで、小さいテキストです。
だから351pのわりには読みやすいと思うし、軽いから寝転んで片手で広げて読んだりもできます。
網羅性:△
案外ちゃんと載ってる、でも良くはない
2019年9月の学科試験60問のうち、応用問題を15問抽出して、FP3級のテキスト12冊でカバー率を検証しました。
※残り45問は基礎だったり超重要な部分なので12冊のどのテキストにも大体載っています。
その結果、15問中5問正解、つまり10問はカバーしていませんでした。
このカバー率は12冊中最下位の12位です。
15問を除いた残り45問はすべて載っているとしたら、50/60問カバーしていることになります。
学科試験は60問中36問正解で合格です。
逆に言えば、24問は間違えることができます。
このテキストだけを使うとすると、2019年9月の学科試験ではその時点で10問落とすことになり、間違えていい問題数は50問中14問ということになります。
この網羅性は、文量を考えるといい気もしますが、最下位なのは確かです。
このテキストを使うのなら、問題集やサブテキストでこの欠点をカバーする必要があります。
見返しやすさ:△
分かりやすさ重視の代わりに見返しにくい
このテキストには、すべてのページの右端に、節のタイトルが記載されています。
これは見返しやすさに繋がっています。
ただ、それがあるのに、なんだか見づらいんです。
それはおそらく、以下の二点が原因です。
①イラストがたくさんあってごちゃごちゃしている
②節内の見出しが説明になってる
どちらも普通に通読するときには分かりやすくていいのですが、見返すときには目的の項目にたどり着きにくい原因になっています。
例えば、「青色申告」の説明の見出しには「青色申告は、一定水準の記帳をし、正しい申告をする人については、有利な取扱いが受けられる制度」(234p)となっています。
ぺらぺらめくって青色申告の解説を探したい場合には、探しにくくなると思います。
問題について
問題数
章末に10問。計60問。
出題形式
すべて〇×問題。
過去問からの出題です。
解答
表のページが問題、裏が解答になっています。
解答は赤字なのに、赤シートで隠せない濃い赤なのが残念。
解説
すべてに解説あり。
しかも問題に対応した本文のページも書いてくれてる親切設計。
レベル
問題数が少ないので、読んだことの軽い確認くらいです。
問題集が必要だと思います。
強み・オススメできるひと
一番網羅性が低いことが強みとも考えられる
網羅性は全テキスト中最下位なのですが、それは逆に言えば応用的な内容を一番省いているとも考えられます。
全体351p-マンガ76p=275pで、さらにイラストでかなりスペース取っています。
それでB5サイズなので、情報量はこのテキストが一番少ないんじゃないかと思います。
最小限の勉強で受かりたい人にはオススメ
最小限の勉強内容で受かりたい場合も、いいのかもしれません。
それにしても不安になりそうなカバー率ですが、そこは問題集やサブテキストでカバーします。
そうすると分かりやすく基礎がまとまった良いテキストに早変わりします。
それと、「横になって片手で読んだほうが勉強がはかどる!」って方には向いていると思います。
そんな人がいるのかは分かりませんが、唯一片手で快適に読めるFP3級のテキストです。
弱み・オススメできない人
網羅性が低いけど、軽いわけじゃない
このテキストは網羅性が低いけど、でも入門書として使うほど軽く読める内容でもないです。
この本だけだと不安がある、けどこれ読んだ後に別のテキストをメインで使うなら、最初からそれ1冊使ったほうが効率的という微妙な位置づけです。
入門書として使うのは非効率でオススメできない
この本はマンガを売りにしていることもあって、本格的に勉強を始める前のイメージを掴むのにいいのかも?と予想していたのですが、
結構ちゃんとした内容になってるので、さらっと読んでイメージを掴んで終わるっていう使い方は向いていないと思います。
使用する問題集とサブテキスト
問題集は「速攻問題集」がオススメ
どのテキストにも対応した問題集が出ているのですが、このテキストにはそれがありません。
いや、出版元のナツメ社からは問題集が出ていてオススメされているのですが、その問題集をやって利便性が上がることが特にありません。
同じくナツメ社の「完全攻略テキスト」っていうのとは、各問題に対応するテキストページが書いてある素晴らしい親切設計なのですが、このテキストとは何のリンクもありません。
それならば出版社にこだわらず、最も出来のいい問題集を使えばいいと思います。
どの問題集も章構成は同じですし、節も似たような感じなので、特に不便なく使えます。
12冊の問題集を比較して、一番よくできていると思ったのは、「うかる!FP3級 速攻問題集」です。
この問題集は、学科問題で1~6章→実技問題で1~6章という構成をしていて、学科だけ先に集中して取り組む勉強法には最適です。
問題量は多くもなく少なくもないちょうどいい量で、解説も丁寧で分かりやすいです。
模擬試験も学科2回と実技1回分あって、それで実力確認もできる。
このテキストだけだと網羅性が心配ですが、この問題集でインプットしておけばまず受かります。
(速攻問題集尼リンク)
辞書として「速攻テキスト」の併用もオススメ
この問題集のもう一つ良いところは、すべての問題に「速攻テキスト」の対応ページが書いてあることです。
そしてこの「速攻テキスト」は、本記事の「マンガで攻略」とは真逆で、全テキスト中1位のカバー率です。
厚いですがよくまとまっていて分かりやすいので、辞書的に使うのに向いています。
速攻テキストを使っていなくても各問題に対応ページがちゃんと書いてあるので、すぐに解説ページを読むことができます。
3冊のおおまかな使い方
①「マンガで攻略」をメインテキストにしてスムーズに理解
②「速攻問題集」で効率的にインプット
③本書でカバーできてない問題が出てきたら「速攻テキスト」の解説を読んで理解
このような使い方をすれば3冊の長所をうまく引き出せると思います。
このテキストを使った具体的な勉強法
①本書を1周軽く通読
全体のイメージを掴むような感じで、暗記したりする意識はなく、軽くで大丈夫です。
章末問題は10問しかないからやってもやらなくてもいいです。
②「速攻問題集」の学科問題だけ解くのを数周
解説を読んでもよく分からなければ、テキストの該当箇所を読みます。
間違えた問題にマークを付けます。
2周目以降は間違えた問題だけ解いて、どんどん数を減らしていきます。
7~8割正解できるようになるまで周回します。
③模擬試験を学科と実技両方解く
速攻問題集の模擬試験を学科だけでなく、自分が受ける実技の問題も解きます。
実技対策は何もしてないと思いますが、学科と出題範囲が違うわけじゃないので、案外解けたりします。
これでもし合格点がとれたならもう大丈夫だと思います。
不安ならもっと問題集やったり過去問をやれば、確実に合格できるようになります。
④自分に必要な対策をする
・学科が合格点取れない→問題集の学科を再度やり直す
・実技が合格点取れない→問題集の実技部分を解く
・試験慣れしていない→過去問を解く
・解いてる問題のイメージが湧かない→テキストを読みなおす
・ある分野が苦手→「速攻テキスト」の該当部分を読み込んで、その分野の問題集を解く
実技は自分が受ける試験に合わせた範囲だけやってください。
きんざいの個人資産と保険顧客は出題範囲が絞られています(FP協会の資産設計は全範囲)。
過去問はきんざいとFP協会のサイトから数年分がダウンロードできます。
解説はありませんが、ここまできたらなくても困らないと思います(解答はあります)。
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